瓶詰地獄

「瓶詰地獄」夢野久作

 

「私たちは初めから、あなた方の愛子でなかったと思って諦らめてくださいませ。」

 

書簡体小説。3つあるらしい瓶詰の手紙のうちの第1の瓶に書かれていた文章です。

どうやら兄妹が離れ島で助けを待っていたらしい、そうして助けは目前まで来ていたと言う事はここまでで読み取れる内容でしたが、けれどどうやらこの兄妹はその助けの船の真正面にある高い崖から身を投げて死ぬと書いています。そうでなければこの島で2人が犯した罪の報償ができないと言って。

 

この2人が犯した罪については直接の明言はされていなかったように思います。けれど第2の瓶からなんとなく読み取れます。

明言されていない所がいいですね。

 

時系列がバラバラというか多分ならべると3→2→1の順になると思うのですが、長い年月の経過を感じました。兄妹2人だけで離れ島にて助けをどれくらい待っていたのだろうと考えるとそれだけで中々に地獄なのですけど、手紙に書かれた兄妹の苦悩もまさに瓶の中に詰められた地獄だなあと。

 

タイトルがステキなので読み始めたのですけれど、その通りステキな作品です。

ただし精神的にとても元気のある時に読んだ方がいいなと思いました。